AIでできる
オンライン #2活動レポート

AI活用交流会 #2 — AIに任せた作業が発散する、を2時間かけて解体した

2026年9月17日のオンライン回の記録。AIに任せた作業が500件に膨らんで収束しなくなる問題を、参加者それぞれの運用を突き合わせて解体しました。Issueの立て方、担当スコープの切り方、CLAUDE.md を200行に絞る理由まで。

2026年9月17日(木) 開催20:00–22:00オンライン

2026年9月17日(木)20時。前回から2週間後のオンライン回です。

この日は議論が主役の回になりました。一人でAIに作業を任せていると必ずぶつかる「タスクが発散して収束しない」問題を、参加者それぞれの運用を突き合わせて2時間かけて解体していく——そういう時間です。

この回の進め方

2回目以降は、毎回同じ型になります。当日はこのタイムテーブルを最初に投影してから始めました。

冒頭に投影したタイムテーブル。宣言15分、手を動かす時間70分、発表32分、次回予告3分(参加者のお顔はモザイク処理しています)
冒頭に投影したタイムテーブル。宣言15分、手を動かす時間70分、発表32分、次回予告3分(参加者のお顔はモザイク処理しています)

自己紹介が入るのは初回だけなので、2回目以降は手を動かす時間が長く取れます。各回で完結する設計なので、途中の回から合流しても問題ありません。この日も、前回の続きを進める人と、この回から着手する人が混ざっていました。

作業中の70分は、メインルームに運営がずっといる形にしています。

作業時間の進め方。黙々と作業していい、詰まったら声をかけるかチャット、じっくり話したい人はブレイクアウトへ(参加者のお顔はモザイク処理しています)
作業時間の進め方。黙々と作業していい、詰まったら声をかけるかチャット、じっくり話したい人はブレイクアウトへ(参加者のお顔はモザイク処理しています)

  • 黙々と作業していい — マイクはオフのまま、カメラも自由
  • 詰まったら、声をかけるかチャットに一言 — その場で見ます
  • じっくり話したい方は申し出てもらえればブレイクアウトに分ける

加えて、中間の21:00に**「ここまでの進み」をチャットに1行ずつ**書いてもらい、全員分を読み上げます。止まっている人にはそこで声をかける、という作りです。「2時間ずっと黙っていて何も進まなかった」が起きにくいように、間に1回だけ強制的に区切りを入れています。

なお、冒頭で運営の吉永から「その日のうちに何かを仕上げるのは目安であって絶対ではない」こと、作業を進めるか特定の話題を掘るか、どちらでもいいことを伝えて始めています。

宣言された「今日やること」

  • 分散した業務タスクを1つの管理画面に統合する(税理士)— インターフェースを共通化する作業を1時間で
  • PDF を HTML スライドに変換する精度を上げる(ライター)— 要約精度の向上と、生成時に崩れる図形の修正
  • 小説の YouTube 再生数を予測する評価システム(システムエンジニア)— 伸びているデータを学習済みモデルとして使い、D から SS までランク分けする
  • 読書向け Android アプリのサーバー側 API 設計(インフラエンジニア)— 読み上げ品質が低いと指摘を受けたので、サーバー側で改善する
  • 人事評価 × AI のアセスメントツール(コーポレート支援)— 評価制度に基づいたテスト問題を作るツール
  • 受注システムの開発とタスク管理(社内システム担当)— ドメイン駆動設計で組んだ結果、タスクが発散して収束しない

運営の吉永も1つ宣言しています。ボード上で付箋に近づくと声が聞こえ、離れると聞こえなくなるコミュニケーションツール——これは前回、参加者から出たアイデアでした。完成したらカレッジの環境に入れたい、という話です。この場で出た案を運営がそのまま作り始めるという流れは、少人数のまま続けているからこそ起きたことだと思っています。

2時間かけて解体した「タスクが発散する」問題

この日の中心になったのは、社内システム担当の方が持ち込んだ悩みでした。

受注システムが7つほどのドメインに分かれていて、タスクが300、400、500件に膨らんでいる。AI 自身も、どの Issue がどれに該当するか把握できなくなっている。

サブエージェントを立ち上げて並行作業させたいが、エージェント同士のタスクが互いに見えず、バックエンドとフロントエンドで変更が重なると発散する——という相談です。ここから、参加者それぞれの運用が出てきました。

Issue は機能ベースで立て、細かい進捗はコメント欄に

Issue が大量に増えると、AI より先に人間側の負荷が限界に来ます。運営の運用は、機能ベースで Issue を登録し、細かい進捗はその Issue のコメント欄にぶら下げるというもの。人間が追いやすくなり、AI も階層構造とリンクを理解して整理できます。

担当はファイル単位・ディレクトリ単位で分ける

いちばん確実なのは、「私は A 担当、あなたは B 担当」とファイル単位・ディレクトリ単位でスコープを切ることでした。人間にも AI にも同じく効きます。実例として、コールセンターの AI 開発で最上位の振り分けロジックの担当者を置き、約50個あるシナリオごとに担当を割り当てている運用が共有されました。

コンフリクトの実感値も出ています。1つのリポジトリを15〜20名が編集し、1日あたり10〜15件の PR が出るチーム開発で、コンフリクトは週1回程度。スコープさえ切れていれば、並行作業そのものは怖くないという話です。

AI が賢くても、スコープは広げない

「AI が賢いから」と無限にスコープを広げたり、1つのファイルに何千行も書かせたりすると、それ自体が発散の原因になります。人間が全体の構造とディレクトリの意図を把握できている状態でチューニングする——というのが、この議論の結論でした。

CLAUDE.md は200行まで

もう一つ、具体的な数字が出た話です。

AI に渡すメモリファイル(CLAUDE.md)に何をどこまで書くべきか、という相談に対して、適正は200行程度、350行を超えると出力に違和感が出始めるという回答でした。実際、1000行あったものを600行まで削ったがまだ重い、という参加者もいました。

関連して、外部にデータを置くときの使い分けも整理されています。

  • 自分だけで完結するなら Obsidian(ローカル)
  • チームで運用するなら GitHub

ファイル全体の構造は人間側で整理しておく。そうすると AI が読むべき量が減り、セッションの寿命が延びる、という理屈です。

ブラウザ操作より、コネクターのほうが精度が高い

営業職の方から、前回宣言したメール処理の進捗報告がありました。Claude Code に Outlook の画面を操作させ、重要なメールだけを抜き出して重要度と返信要否を分類する仕組みを作った、というものです。

これに対する運営のコメントは、ブラウザの画面操作より、Claude Code のコネクター機能(公式が用意している MCP など)を使うほうが精度が確実に高い。案件管理・タスク管理についても、人間にも AI にも扱いやすい Notion に、コネクター経由で自動登録する流れを組むのが早い、という提案になりました。

AI 活用能力は、どこまで測れるのか

人事を本業とする参加者が画面共有しながら、評価制度と AI を組み合わせたアセスメントツールを見せてくれました。単なるプロンプトの巧拙で差がつかないよう、AI 部下の提案の中に意図的な「罠」を仕込み、それに気づいて指摘できるかを測る——たとえば「満足度は高いが分母が極端に少ないデータ」を見落とさないか、といった設計です。

ここから、チャット履歴に現れる情報と、思考の深さのように画面に現れない情報があり、AI 活用能力の全項目のうち一部しか測定できないという限界についての議論になりました。運営からは「AI 活用能力の本質はドメイン知識と言語化能力」という見方を示しています。

参加者からは、複数の AI を組み合わせて議論を重ねる手法も共有されました。Claude Code で受け取った内容を ChatGPT に渡して返させる、というように往復させることで、システム設計の理解が深まるという話です。

その日の着地

最後の進捗共有では、こんな報告が並びました。

  • タスク管理ツールの統合が進み、インターフェースが見える状態まで到達(中身の作り込みは次回へ)
  • 金融庁の資料を HTML スライド化。カードが並ぶ形式には落ち着いたが、サイクル図やマトリックスにする方法で止まっている
  • 散らかったファイルを5つのフォルダに分類する作業が完了
  • WordPress で対応できない部分を Next.js でリニューアル。テーマを導入したらデザインの出力品質が一段上がった
  • AWS 上にサーバーを構築する設計が進み、来週には接続段階まで行けそう

「完成しました」より「ここまで進んで、ここで止まっています」が多く並ぶのが、この場の実際です。止まっている場所を具体的に言える状態まで持っていくのが、2時間の役割だと考えています。

次回へ

以降は第1・第3木曜日の20時から22時で固定です。前回の記録はAI活用交流会 #1をご覧ください。

なお、9月12日には東京で同業交流会(現職の PM・PdM・エンジニア向けの対面イベント)も開催しています。オンラインとは別枠で、月1回のペースで実施しています。


掲載について:初回の冒頭で、活動の様子をサイトに掲載する方針と、顔・お名前・画面にモザイクをかけたうえで載せることをご説明し、ご希望されない方は個別にご連絡いただくようお願いしています。本記事では参加者のお名前・ハンドル名は掲載せず、職種までの粒度に留めています。録画と議事録は会員の方にのみお渡ししているもので、公開はしていません。

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一人だと続かなかった、を仕組みで変える場所

月2回・第1-3木曜の 20:00–22:00 に集まって、各自が自分の仕事を題材に手を動かします。 会員限定の Discord と、月1回の同業交流会(対面)も。第一期の募集は終了しました。第二期の募集が決まりましたら、ご案内リストの方へ最初にお知らせします。